根管治療
根管治療が必要な症状
根管治療とは歯の中の神経に細菌が感染、増殖し神経が死んでしまった場合や、以前の治療から時間が経過し(5年以上)根の先に膿がたまってしまった場合に根管内の洗浄をする治療です。
急性の場合、「噛むと痛い」や「何もしていなくてもズキズキする」など日常生活に支障が出てきます。
慢性の場合にはご自身でお気づきになる事は少ないですが、レントゲンや口腔内診査の結果、歯茎にできもののように膿の出口ができていたり、レントゲン上で根の先に病巣ができて周囲の骨を溶かしてしまっている像が観察されます。
慢性は症状が無いことが多いですが、放っておくと症状が悪化し痛みが出てくる場合や隣の歯に影響が出てくることがあります。
何が原因で歯が痛くなるのか
歯の神経に細菌が感染することにより
痛みがでます。
以前の治療で神経を取った歯でも、細菌感染が起これば根の外側の組織に炎症(腫れ)が起きて痛みが出ます。
根管治療の治療方法
根管治療って具体的にどんな治療?
感染した根管内を洗浄する治療です。
可能な限り無菌状態で治療することが必須ですので、当院ではラバーダムというゴムのシートを使用します。口の中の唾液や呼気による細菌侵入を防ぐためです。そのため患者様にこのゴムのシート着用にご協力頂く事がありますが、ご理解頂けると幸いです。
根管内の洗浄には根管の形態によりますが、専門医での治療を除いて通常3~4回かかりますので、当日治療が終了する事は珍しいです。
歯の神経が残っている場合
虫歯が原因で歯の神経が痛んでしまっている場合、初めて根管治療に着手することになります。
1回目の治療は非常に重要で、治療歯の一生を左右すると言っても過言ではありません。可能な限り根管内を洗浄し、緊密に薬を詰めることで歯を長期に持たせるように治療を行います。
最終的な薬を詰めたら根の治療は終了ですが、この後中蓋となる土台(コア)と外蓋となる被せ物を入れて治療は終了になります。根管治療後の歯をなるべく持たせる(細菌侵入を防ぐ)ために、できるだけ早期にきちんとした被せ物を入れることが必須となります。
歯の神経が残っていない場合
一度根管治療を受けた歯でも、時間の経過と共に根の先に病巣が出来ることがあります。
多くの場合は無症状に経過しますが、レントゲンで病巣が確認出来る場合や、実際に痛みがある場合は治療が必要です。
この場合、被せ物や土台、詰めてある薬を除去し徹底的に洗浄します。根管内の洗浄が終了したら、最終的な薬を詰めます。この後、土台と被せ物を早期に入れ治療を終了します。
歯の治療は無限に繰り返せる物ではなく、4回目の根管治療では抜歯に至ると言われています。
1回目の治療、2回目の治療でできるかぎり精度の高い治療をすることが必要です。
きちんと根管治療をしなかった場合
根管治療を途中でやめてしまったり、症状のない慢性病変を放置してしまうと抜歯になる可能性が非常に高くなります。
仮詰めの効力は一般的に2週間程度で、特に治療の中断は根管内に再度虫歯をつくってしまい、抜歯に至るケースがほとんどです海外出張や里帰り出産などで、根管治療中長期に来院出来なくなる場合は仮詰めを補強して対応しますので、必ずご連絡ください。
抜歯しなければならないケース
- 歯に亀裂や破折(歯根破折)が見られる場合
- 虫歯が大きすぎたり、以前の治療で歯や根管に穴があいている場合(パーフォレーション)
- 非外科的歯内療法、外科的歯内療法(歯根端切除術や意図的再植)を行っても予後が悪い場合
当院の根管治療
痛みに対する配慮
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根管治療では歯の神経は既に無くなっていることがほとんどですが、根の外側には骨や歯根膜といった細胞組織があり、ここを刺激されると痛みを感じます。当院では根管治療時には麻酔を実施し、痛みをコントロールします。歯内療法専門医ではほぼ毎回根管治療時に麻酔を行いますので、我々が麻酔しない道理はないかと思います。
麻酔針刺入時の痛みを和らげるために表面麻酔を用いています。
精密機器の使用
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根管治療において、弯曲の強い根管やイレギュラーに分岐している根管の治療は難易度が高くなります。当院では難しい根管治療を行う際にニッケルチタンファイル(Ni-Ti File)を用いて、強い弯曲にも追随できるようになっています。
また、歯科用CBCTを用いて3次元画像より診断を行い、より精密な治療を行います。
ラバーダムを利用した治療
ラバーダムとは?
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ラバーダム防湿は歯にゴムのシートをかけ、唾液中の細菌や呼気から患歯を隔離するために行います。根管治療の他、虫歯治療や詰め物、被せ物を接着する時にも使用することがあります。
良い治療をするためには必要不可欠な処置になりますが、お口全体を覆うため鼻での呼吸になります。そのため患者様には少々苦しい思いをさせてしまうかも知れません。ご理解、ご協力をお願いいたします。
ラバーダムの効果
根管治療は細菌との戦いです。根管内にいる細菌をどれだけ洗浄できるかが治療の善し悪しを決める鍵になります。そのため当院ではラバーダム防湿は必須と考えています。逆に言うと、歯が短すぎたり、ラバーダムをすると歯が欠けてしまう場合など、ラバーダムが出来ない歯は抜歯適応になります。
根管治療においてラバーダム防湿は、車のシートベルトのようなものであり、細菌の侵入を防ぐだけで無く誤飲や誤嚥を防ぐ安全面でも必須と考えています。
感染症予防など、衛生面への配慮
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感染症は大きく分けて3つに分けられます。空気中からの感染・接触から体内への感染・血液を介しての感染です。
当院では空気中のウィルスや飛沫を医療用空気清浄機「メディカルライトエアー」により清潔に保ち、チェアサイドでは口腔外バキュームを用いて飛沫による感染を予防しています。
また、当然のことながら患者様毎の器具滅菌とグローブなどの単回使用を義務づけております。
他院で治療途中でも
お気軽にご相談下さい
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「なかなか治療が終わらない」「治療のゴールが見えない」「先生が忙しそうで話せない」などのお声を頂戴いたします。
当院では、他院で治療中の歯でも診査診断を行い、治療計画を再度立案してご説明いたします。
その中で、一本だけ直せば良いのか、他に問題はないのか、そもそもどうして治療が必要になってしまったのか、原因の追求から一口腔単位の治療、さらには歯ではなく患者様その方を診る治療をご提供いたします。