歯周病治療
歯周病について
当院の歯周病治療の特徴、診療方針
当院では歯周病治療に力を入れております。
日本歯周病学会のガイドラインに則り、「診査・診断」と「治療計画」に重点を置いています。
さらに当院での+αとして「なぜ病気になってしまったのか」に焦点をおき繰り返さない治療を目指します。
また患者様のライフステージも重要なファクターです。受験、就職、結婚、出産、転勤、定年など人生のイベントの前後では、口腔状態や通院頻度も違います。患者様の「そのとき」に合わせた治療計画をご提供いたします。
当院の歯周病治療の特徴
1.日本歯周病学会 認定医による
歯周病治療を基本とした治療
歯周病の治療は、家で例えるならば基礎工事に似ています。
長持ちする家を建てるためには、土台となる基礎がしっかりしていなければなりません。
歯科治療も同じで、長持ちする口腔内・長持ちする被せものを維持するためには、土台である歯を支えている歯周組織にフォーカスし、治療を行う必要があります。当院では「見た目のきれいさ」だけでなく、「機能美を追求し、長持ちする」ための治療を行います。
2.歯の保存を考える
抜歯の原因第一位は「歯周病」です。しかし歯周病だからといって、歯を抜かないといけないとは限りません。
当院では歯周組織再生療法や、再植などのオプションも考慮した治療計画をたて、もう一度その歯が本当にダメなのか検討します。
インプラントが一般的になり、歯を抜いた後の選択肢がたくさん広がりました。入れ歯しか選べなかった時代に比べると、とても噛み心地良く過ごせる時代と言えると思います。しかし、自分の歯が残せるのであれば考えてみたいと思いませんか?
他院で抜歯と言われた方も、是非一度ご相談下さい。
3.技術と知識のアップデート
治療を長持ちさせるためには、治療を始める前に「なぜ病気になってしまったのか」を考える必要があります。繰り返しの治療を避ける為、原因を追求し除去します。歯周病はこの「なぜ」を考える学問です。
医学の世界は日進月歩で、日々新しいエビデンス(科学的根拠)がアップデートされています。今までの知識に頼るのではなく、新しい文献データを紐解き臨床に還元できるよう研鑽を積んでおります。
また、国立東京医科歯科大学 歯周病外来に所属しております。難しいケースであっても、他のドクターと相談し独りよがりではない治療を心がけております。
歯周病でお困りの患者様へ
日本歯周病学会 認定医として
患者様のためにできること
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日本人の80%が歯周病に罹患していると言われ、抜歯の原因No.1は歯周病です。
「歯周病と伝えられ、歯を抜くと言われた」「抜いた後は入れ歯にすると言われた」という方は少なくありません。しかし、歯周病を専門的に治すクリニックであれば、再生療法や自家歯牙移植など、入れ歯以外のオプションが見つかるかもしれません。
一般歯科医師と歯周病認定医の違い
歯周病認定医は日本歯周病学会の定める試験を行い、歯周病の専門的知識と治療技術を有していると認める資格です。歯周病のみでなく、口腔内全体の治療を、高い水準で治療することができます。
また、歯周組織再生療法やインプラントなどの選択肢が豊富なことも特徴です。
歯周病治療の難しさ
来院されるほとんどの患者様は、自分が歯周病かどうか知りません。実際に歯周病を治療していた患者様でも「なぜそうなったのか」「どうしたらよいのか」「どんな治療をするのか」を知っている方は少ないのが現状です。歯周病治療は歯科医師・衛生士・患者さんの3人4脚でないと成功しません。ご自身の病気を正しく知り、理解することが必要です。
また、治療が終了しても継続したメンテナンスが必要不可欠です。
歯周病と歯槽膿漏・歯肉炎
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歯周病とは
歯周とは「歯」と「歯を支える周囲の骨や歯茎」の事をさします。歯周病とは一般に歯を支えている周囲の骨が溶けて減ってしまう病気の総称です。
歯周病には歯肉炎と歯周炎という2つの時期があり、初期には歯茎から血が出るなどの症状を覚える歯肉炎から始まり、次第に周囲の骨が溶けて減ってしまう歯周炎へと進行していきます。現在日本人の80%が歯周病にかかっていると言われています。
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歯槽膿漏とは
歯周病は以前は骨の病気(歯槽骨)と思われていました。そのため、骨への感染を除去するために表層の骨を削ったりして治療のアプローチを行っていました。
現在では歯槽膿漏は歯周炎と改められ、一般的な原因は歯の周りに付着したバイオフィルム(細菌)であることが分かっています。歯周病の治療はこのバイオフィルムをいかに除去するかが成功の鍵になってきます。
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歯肉炎とは
歯肉炎は歯周病の初期症状で、歯茎の腫れや出血が診られます。歯肉炎の状態では、周囲の骨は減っていませんがこの状態が続くと付着した細菌から逃げるように歯を支えている周りの骨が減っていきます。
歯肉炎も歯周炎も炎症(腫れ)はありますが、痛みを伴わないことがほとんどで、出血を自覚しながら緩やかに進行していきます。初期の状態で気づければ手術などの大がかりな治療を避けられます。
歯周病になる原因
一般的な歯周病の原因は、唯一「汚れ」です。「プラーク」や「歯垢」という呼び方もしますが、口の中の細菌が集まったもの(バイオフィルム)です。これは歯ブラシでとれる柔らかい汚れです。
食事をすればすぐについてしまいます。この汚れが同じ場所に48時間以上とどまると、唾液中のリンやカルシウムによって「歯石」とよばれる硬い汚れに変わります。これを歯ブラシで落とすことはとても困難で、歯石のザラザラした表面に、さらにバイオフィルム(細菌)がくっつくことになり悪循環をよびます。
また、特殊な歯周病では突然歯周病が進行して歯が抜けてしまったり、家族みんなが歯周病が重症化したりします。
これは遺伝が原因と考えられています。
歯周病と全身疾患
歯周病と一部の体の病気には関連があります。たとえば、糖尿病と歯周病は相互関係があることがわかっています。
糖尿病が悪ければ歯周病は治らず、歯周病がよくなければ糖尿病は治らないといった具合です。
また、アテロームという心臓が肥大化する病気や、妊娠中の方では早期低体重児出産のリスクが高くなることが上げられています。高齢者においては、口の中の細菌が食事の際に気管に入り込み肺炎を起こす原因にもなります。他にもリウマチを疾患として抱えている方は歯周病のリスクが高い事や、近年では歯周病と認知症(アルツハイマー型認知症)の関係が解明され、注目を集めています。
歯周病と口臭
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歯周病の原因は細菌の塊であるバイオフィルムです。バイオフィルムがたくさんたまっていると、細菌によって硫化水素やメチルメルカプタンなどのガスが発生します。
これが口臭の原因の80%をしめると言われています。口臭は自分で感じるレベルから他者から指摘されるレベルまで様々ですが、細菌が原因であることに違いはありません。
歯周病で抜歯を
おすすめするケース
歯を支えている周囲の骨が極端に少ない場合や、治療上不必要な歯に対して抜歯を進めることがあります。治療上不必要な歯とは、残しておくことでその周囲の歯に悪影響を及ぼす場合や、被せ物などの治療をしても長持ちできない可能性が高い歯を指します。
健康な歯ぐきの特徴
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健康な歯茎とは歯ブラシや検査の際に出血がなく(10%以下)、深い歯周ポケットがない状態です。深い歯周ポケットがあった場合は周囲の骨が元の位置よりも下がっていますから、歯と歯の間に隙間ができたように感じる方もいらっしゃいます。
残念ながら再生療法ができるような特殊なケースを別にして、減ってしまった骨を元に戻す方法はありません。新たな汚れがつかないように、今以上に歯周病が進行しないように注意深くケアをしていくほかないのです。
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特徴
歯茎から血が出る、歯茎がはれぼったいなどの症状がでます。自覚症状がないまま経過することも多々あります。
治療内容
ご自身の歯ブラシの仕方を観察し、ご指摘できる点があれば指導します。患者さんは歯並びも利き腕も人それぞれです。全員に同じ方法を教えていてもその人の汚れは取りきれません。その人それぞれに合った歯ブラシの仕方をお教えします。
はじめはとても難しく感じると思います。しかし、習字もゴルフもテニスも練習が肝心です。1日3回チャンスがあれば必ず上達します。歯ブラシが上手にできるようになれば、とりきれない歯石を歯科医院で除去します。
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特徴
初期の症状に続いて、歯が動いてきた気がする・噛むと痛いなどの症状がでます。この時期になっても自覚症状がない場合もあります。
治療内容
歯ブラシの指導や歯石の除去を行うのは初期と同じです。深い歯周ポケットにある歯石を除去するのに麻酔が必要なこともあります。麻酔を使用する場合、上下それぞれ右奥歯、前歯、左奥歯と概ね6ブロックに分けて行います。
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特徴
歯が揺れている、歯が痛い、歯茎が痛い等の症状が出ます。場合によってはすっかり骨がなくなるまで進行してしまい、うがいしていたら歯がとれたという場合もあります。
治療内容
残っている骨の量を歯一本一本判断します。患者さんとの相談次第ですが、診査の段階で抜歯が必要になるケースがあります。まわりを支えている骨があまりにも少なく、治療の見通しが明らかに悪い場合や、治療する上で管理できず不必要と思われる歯が対象になります。
治療の初期段階では歯ブラシ指導や歯石の除去を行います。歯周ポケットが深ければ麻酔をして歯石を除去したとしても取りきれない歯石が残ってしまう事があります。この部位に対しては歯茎を切開して歯石の徹底的な除去を行います。
軽度歯周病について
中度歯周病について
重度歯周病について
歯を抜かずに治療する
メリット
様々な考え方がありますが、当院では歯の保存を第一選択に治療方針をご説明いたします。近年では一部のケースにおいて「歯周組織再生療法」という、失った周囲骨を取り戻す治療の予後が高くなってきました。自分の歯を保存できるチャンスが以前よりも高くなってきたということです。
これは、ブリッジや入れ歯、インプラントの時期を人生の後半に先送りできる・自分の歯を少しでも長く使える事は大きなメリットではないでしょうか。
インプラントが歯科治療で一般的になり、治療の予後も非常によくなってきました。しかし、インプラントも歯周病にかかる場合があります。(インプラント周囲炎やインプラント周囲粘膜炎)これは歯周病のリスクコントロールがされていないために起こる病気です。
むやみに歯を抜いたり残したりするのではなく、患者様ごとのリスクを知り、コントロール出来る状態になってから治療をしなければ、病気は再発し再治療が必要となってしまいます。
歯周病のセルフチェック、こんな症状は歯周病?
- 口臭がする
- 血が出る
- 口の中に粘つきを感じる
- 歯がグラグラする
- 歯が揺れて食事がしづらい
- 歯が動いている気がする
(隙間が空いてきた等)
精密歯周病検査について
検査の流れ
- 問診からお困りの事や気になっていること、生活の変化などをお伺いし診断に役立てます。まずはお話を聞いて必要な検査を選定します。
- 来院時最初の状態を口腔内写真で記録します。治療前後の判定や、見落としを防ぐ為にも必要な診査になります。この資料は治療立案や治療計画の説明に活用します。
- レントゲン撮影を行い肉眼で見ない部位の診査を行います。歯周炎の状態や根管の把握など、必要に応じて全顎法14枚のレントゲン撮影で精査する場合があります。
- 歯周ポケット検査を行い歯周病の進行を判定します。通常2~3mmのポケットですが、4mm以上あれば歯周病が始まっていたり、注意が必要なサインになります。7mmを超えるポケットは重度歯周炎と判定されます。
歯周病治療の流れ
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治療計画
診査・診断が終了したら治療計画の説明を行います。ご自身がどのレベルで、どのような治療をすれば良いのかをお話しします。また、学校やお仕事、育児など患者様の環境をお話ししながら実現可能かどうかお話ししながら決定していきます。決して一方通行では始めません。
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歯周基本治療
日本歯周病学会のガイドラインに則って治療を行います。歯周病治療の始まりは必ず歯ブラシのチェックから始まります。どんなに歯医者に通っても食事をすればすぐに汚れはついてしまいます。
歯周病の原因はバイオフィルム(細菌)ですから、いかに汚れを除去できるかが歯周病治療成功の大きな鍵になってきます。利き腕や歯並び、生活環境によって磨きにくい場所や磨く時間帯等人それぞれですから、無理なく生活に取り込める歯ブラシ習慣を一緒に考えていきます。これが病気の再発を防止する第一歩です。
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ブラッシングチェック
歯ブラシのレベルがアップしたら、自身のブラッシングでは取りきれない歯石や、歯茎の深いところについた汚れを除去します。新たな汚れがつかないように表面をツルツルに仕上げることで、治療効果を長持ちさせます。
浅いところについている歯石は簡単に取れますが、深いところについた歯石は除去するために深いところに器具を挿入しますので、必要に応じて麻酔を行います。
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再評価
全体がきれいになったら、少し間隔を空けて歯茎の治りを待ち再度歯周病検査を行います。治療で良くなったところ、あまり変わっていないところ、悪くなっているところを判定し、治療計画を修正します。
人によって病気の状態も治り方も様々ですので、必ず治療効果の判定が必要です。良くなっていればメンテナンスへ移行しますが、病気が残っている部位には次のステップを相談します。
この再評価の際、歯ブラシの状態を再度確認します。歯ブラシに慣れてくると「くせ」は必ず出てきて、苦手な所や磨くのが難しい場所がはっきりしてきます。この部位を特定して練習し磨き残しを減らしていきます。
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歯周外科治療
上記4までの非外科治療で病気が残ってしまっている部位には、歯周外科治療(手術)を検討します。この際、一部のケースでは溶けて無くなってしまった骨を再生する歯周組織再生療法が適応出来ることがあります。自分の歯をより長く持たせるために、適応の場合はお知らせいたします。
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メンテナンス
治療が終了したらメンテナンスへ入ります。メンテナンスでは、歯周病の状態が悪化していないか、予兆はないか、ブラッシングが苦手なところが変わっているか等、お口の中の状況を確認します。
その中で、ご自身の生活環境の変化や食習慣やお好み、ストレスやその解消法などを伺いメンテナンス計画へ反映します。歯は口の中にあって、さらには個人が持つものですからご自身の生活のなかで無理のないケア、続けられるブラッシング習慣を見つけることがとても大切です。
歯周病治療の回数と
費用の目安
軽度歯周病の場合
歯肉炎や軽度歯周炎の場合、多くは「正しいブラッシング習慣の獲得」と「歯石やバイオフィルムの除去」で十分です。歯ブラシの熟練度は人それぞれですが、通常であれば3~4回の通院で健康な歯茎を取り戻すことができます。
中度歯周病の場合
深い歯周ポケットがある場合、麻酔をして治療を行います。一度に全体の麻酔は出来ませんので、上下の歯を奥歯/前歯/奥歯の6ブロックに分けて治療します。再評価まで10回程度の通院が必要になります。
重度歯周病の場合
中度歯周病の場合と同じく麻酔を使用した歯石・バイオフィルムの除去を行います。再評価後、必要があれば外科処置を行います。歯茎を切開し歯石を目視しながら除去します。歯石がきれいにとれたら縫合して終了します。
この際一部のケースでは「歯周組織再生療法」が適応になる場合があります。歯周組織再生療法とは失ってしまった周囲の骨を再生させる処置です。適応出来るケースが限られますので、担当医にご相談下さい。
歯周病を予防するために
必要なこと
歯周病の治療はバイオフィルム(細菌)を除去することです。歯科医院で汚れを取っても食事をすればすぐについてしまいます。可能な限り磨き残しを減らし、ご自身で取り切れない汚れはクリニックで除去します。
歯科医院で行うこと
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人それぞれ歯並びや利き腕、磨くのが苦手な場所が異なります。クリニックでは磨き残している部分を確認し、どうやったらその部分がきれいになるのか一緒に考えます。深い歯周ポケットについた汚れや、歯ブラシで取れない硬い歯石はクリニックで除去します。
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1日2回の歯ブラシで口腔内の環境を良好に保てることが分かっています。お仕事や育児など生活のサイクルは人それぞれですし、変化していくものです。その時々の環境に合わせた磨き方や磨く時間帯などを決めてブラッシングをして頂くことが一番の予防になります。これは一人で決めるのは困難なので、歯科衛生士にご相談下さい。
自宅で行うこと
歯周病の治療法
スケーリング
スケーリングとは
歯周病の治療はバイオフィルム(細菌)を除去することです。スケーリングとは口腔内のバイオフィルムを除去する治療のことです。深い歯周ポケットに汚れが残っているようであれば、麻酔をして除去する場合もあります。
スケーリングで歯石を除去する
重要性
歯石自体は、実は悪さを起こしません。しかし、歯石の表面は粗造でざらざらしています。これだと新しい汚れがどんどんついてきてしまいます。どんなに上手に一生懸命歯ブラシをしていても、歯ブラシで取れない歯石が残っていると汚れがつきやすい環境が残ってしまいます。スケーリングの目的は歯石のざらざらを除去し、ツルツルに仕上げることで新しい汚れがついてこないようにすることです。
レーザー治療
歯周病レーザー治療とは
歯科領域で使用するレーザーにはいくつか種類があり、現在注目されているのはエルビウムヤグレーザー(Yb.YAG)です。レーザーの力で歯石を除去したり、不良肉芽を除去したりします。従来の方法に比べて出血が少なく、治療予後も良いことが多いです。一般的に外科治療の際に用いられます。
歯周病レーザー治療で期待できる
効果
レーザー治療の場合、出血が少ないこと。治癒が少し早いこと、術後の痛みが少ないこと等が利点としてあげられます。
歯周組織再生療法
歯周組織再生療法とは
歯周病は歯を支えるまわりの骨が減ってしまう病気です。多くの場合失ってしまった骨を取り戻すことはできません。しかし、骨の減り方が特殊なケースについては減ってしまった骨を再生することが可能な場合があります。
具体的には動物から採取された未分化な細胞を使用し、歯のまわりの骨を誘導する方法です。スウェーデンで開発されたこの方法は世界各国で認証され使用されています。日本でも厚生労働省の認可を取得しており、使用が可能です。 近年では日本発の歯周組織再生医薬品「リグロス®」が薬事認可され注目を集めています。
この処置には歯茎の切開を伴う外科処置が必要になります。また、使用できるケースも限定されますので担当医にご相談ください。
歯周組織再生療法で期待できる
効果
歯周病によって失われた骨を再生することで、その歯の持ちを良くする事が出来ます。今までは抜いてインプラントや入れ歯にしていた歯を諦めなくて良いかもしれないところに大きな利点があります。
また、歯周組織再生療法によって隣の歯にダメージがいくことを防いだり、既に機能しているインプラントのインプラント周囲炎リスクを低減させるメリットもあります。
治療の特徴と流れ、効果について
当院では日本歯周病学会のガイドラインに則り治療を行っております。
- 診査 / 診断
- 治療計画
- 歯周基本治療
- 再評価
- 歯周外科治療
- 再評価
-
確定的治療
(矯正治療・インプラント治療等) - 再評価 / メンテナンス
歯周組織再生療法を成功させる
ためには
歯周組織再生療法を成功させるためには、口腔内が清潔に保たれている事が第一条件となります。そのため、いきなり手術から始まることはありません。歯周初期治療が終了したら、再評価を行い手術が必要な部位を決定します。その際、歯周組織再生療法が適応出来そうであればご説明します。
術前の診査時にレントゲン撮影と併せてCT撮影をする場合があります。骨欠損形態を把握するために三次元CTにて事前に診査します。手術の時間は約30分~60分です。手術後、約2週間で抜糸を行います。その後は経過を確認し、6ヶ月後に手術部位の再評価を行います。
歯茎の再生療法
「歯茎が下がってきた」「歯と歯の隙間が気になる」というお悩みはよくお伺いします。このお悩みの中で「歯肉退縮」という一部のケースでは下がってしまった歯茎を治療することが出来ます。具体的には、薄く下がってしまった歯茎に、ご自身の歯茎を移植する方法(結合組織移植術)です。
また、薄くて弱い歯茎はブラッシングすると傷つきやすく、これが原因で上手に歯ブラシが出来ない方がいらっしゃいます。このような場合にもご自身の歯茎を移植すること(遊離歯肉移植術)で改善し、歯周病のリスクを低減できます。インプラント周囲では比較的必要なケースが多いです。
この処置には歯茎の切開を伴う外科処置が必要になります。また、使用できるケースも限定されますので担当医にご相談ください。
結合組織移植手術の特徴
結合組織移植術(Connective tissue graft)は下がってしまった歯茎を元の状態に戻すだけでなく、薄く下がりやすい歯茎を厚く変化しにくい歯茎に変える事ができます。これにより長期にわたってブラッシングがし易くなったり、歯茎が下がりにくくなるというメリットがあります。
歯周外科治療
(フラップ手術)
フラップ手術とは
フラップとは弁のことで、歯茎を切開剥離して行う手術の総称です。一般的に、麻酔下でのスケーリングで取り切れなかった歯石を、明視野で除去するために行います。この際チャンスがあれば歯周組織再生療法を選択することもできます。
感染源の除去を確実にできるメリットがある反面、外科処置が必要になります。手術は30~60分で終了します。1~2週間後に抜糸し、経過良好であれば終了となります。
フラップ手術を採用する基準
スケーリングをしても取り切れない歯石がある場合や、深い歯周ポケットや出血が残っている部位に行います。再評価ののち5mm以上のポケットがある部位では89%の取り残しがあることが分かっています。
また、前歯より奥歯の方が根の形態が複雑で取り残しやすいことが分かっています。このことから5mm以上の歯周ポケットがある部位には歯周外科を行うメリットが大きいことが分かります。
歯周病治療のフラップ手術の重要性
深い歯周ポケットに歯石の取り残しがあると、歯周病は治癒しません。歯周病の原因である感染の除去を確実に行うためには、フラップ手術を行い、明視野での歯石の除去が必要不可欠です。
また、歯周組織再生療法を選択するチャンスがあり、失われた周囲骨を取り戻せるかも知れないことも大きなメリットです。
フラップ手術の流れ
当院では日本歯周病学会のガイドラインに則り治療を行っております。
- 診査 / 診断
- 治療計画
- 歯周初期治療
- 再評価
- 歯周外科治療
- 再評価
-
確定的治療
(矯正治療・インプラント治療等) - 再評価 / メンテナンス
歯周初期治療で、口腔内の清掃状況が改善したら再評価を行い、必要な部分(病気の残っている部分)に手術が必要かどうか診断します。手術は30~60分で終了します。1~2週間後に抜糸し、経過良好であれば終了となります。
骨移植
骨移植とは
歯周組織再生療法を行う際に、再生を促す足場として骨移植を併用することがあります。使用する材料はご自身の骨や動物由来のもの、化学物質など様々です。骨欠損形態や手術部位によって異なる材料を使用します。
また、インプラント治療を行う際に、骨幅が不足しているケースでは使用することがあります。
骨移植の期待される効果
手術時に歯周組織の再生を促す薬剤を使用しますが、骨欠損形態によっては足場が必要となる場合があります。これは事前の診査(歯周組織検査やCT撮影)で判断されます。骨移植を併用することで効果が見込まれる場合には、事前にご説明して使用することがあります。
どんな方に採用される
歯周組織再生療法を行う際に、骨移植をした方が再生の効果が見込める場合や、インプラント治療の際に骨幅が不足している場合等に、事前にご説明をして使用することがあります。全てのケースに必要ではありませんが、骨移植をした方が治療効果が見込める場合があります。
骨移植の治療の流れ
歯周外科治療やインプラント治療の際手術と同時に行います。インプラント治療の場合、事前に骨幅を増加させてからインプラント埋入手術を行う2段階の治療を行う場合があります。これは現在の顎骨の状態や、使用するインプラント、適応部位によって治療計画が異なります。
当日行う治療の代表例としては下記に示す通りです。
- 歯肉の切開・剥離
- 根面の清掃(デブライドメント)
- 止血後再生材料の填入
(エムドゲイン®やリグロス®) - 骨移植
- 縫合・固定
手術は通常約30分~60分で終了します。手術後、約2週間で抜糸を行います。